渋沢栄一さんってご存じです?
恥ずかしながら、私には
「学生時代、社会の授業で出てきた近代日本の発展に携わった人」
程度の認識しかありませんでした。
ところが、
開業準備期間に東京商工会議所主催の「創業塾」に参加したときに、
「渋沢栄一」が商工会議所を創立したと知り、
さらに、2024年に「渋沢栄一」が1万円札の図柄に採用されることが発表されるなど、
最近は渋沢栄一の名前をよく聞くようになりました。
そうなってくると不思議なもので、歴史上の偉人も一気に身近な存在に。
だんだん興味がわいてきたので関連本をいくつか読んでみることにしました。
その中で今回は、彼の功績や哲学がギュギュッとつまった入門編とも言える
「渋沢栄一の経営教室」
を紹介します。
とっても読みやすくて、楽しく読み進められるので、おすすめの一冊です。
主人公は16歳の現代少年のSF小説
物語は2058年からスタートします。
事業を成功させた主人公が還暦となり周囲に祝福される中、
事業を始めるきっかけとなった16歳当時のある出来事を思い起こします・・・
その出来事とは、ある事件で八咫烏(やたがらす)になり幕末へ
タイムスリップして若き日の渋沢栄一と出会い、
渋沢栄一のペット的存在となり、
8年間にわたり共に生活を過ごしたこと・・・
主人公の少年はタイムスリップしている間に学んだ渋沢栄一の
生き方、哲学、諦めない精神(シブサワ・スピッツ)を身に着け、
再び16歳の現代へ戻ってきます。
そして定時制高校の仲間と渋沢栄一から学んだことを実践し、
苦難を乗り越えて会社を立ち上げていく・・・
渋沢栄一は、農民から慶喜の家臣となり、
パリへの随行、大蔵省への入省、名だたる会社の設立と、
まさに激動の時代を駆け抜けます。
その中で考えたこと、感じたことを八咫烏となった主人公に語りかける形で、
彼の生き様や哲学が紹介されます。
(彼の哲学(言葉)が太字でセリフの中にちりばめられています。)
渋沢栄一の言葉は、名言集やbotなどでも紹介されていて、ご存じのものもあると思いますが、
この本では
「その言葉の背景にどのような物語があるか」
が分かりやすく描かれていて、言葉の意味を深く理解することができます。
この、“言葉の背景にあるできごとが分かりやすく描かれていること”こそが、
この本の“おすすめポイント”です。
タイムスリップというファンタジー小説ですが、
渋沢栄一の若かりし頃の人生の一時代を切り取った時代劇でもあり、
合間に恋愛や冒険もあり、
300ページ以上ありますが、まるでドラマを見ているかのようで読み始めると面白く、
一気に読んでしまいました。
巻末にはS class note
小説の本編で出てきた渋沢栄一の言葉を中心にまとめたものが掲載されています。
「思い立ったが吉日で、即実行に移す」
「うまくいっているときこど、気をつけないとな」
「粘り、持続力、夢をあきらめない」
など、個としての哲学から
「世のため人のためにならなければ、儲けたって意味がない」
「自己の利益を第二位に起き、先ず国家社会の利益を考える」
経営哲学まで。(いくつかの言葉には解説もあります。)
物語の展開に合わせてこれらの言葉が出てくるので、
物語を読んだあとにS class noteを読むとその言葉の意図することが改めて伝わってきます。
渋沢栄一は「日本の資本主義の父」ともよばれています。
昨今の「働き方改革」で働くことや会社のあり方の見直しが求められています。
世の中のしくみが大きく変わりゆく今だからこそ
注目される人物(哲学)なんだとこの本を読んで改めて感じました。