先日の新潟・山形地震で被災に合われた方々へ心からお見舞い申し上げます。
自然災害は、どんなに科学技術が進んでも
完璧に避けることはできないと言われています。
それでも、想定されるリスクに対してできることもあります。
ポイントは何が優先事項なのかを見極めて準備をしておくことにあります。
今回は地震や台風など、
自然災害が発生した場合の労務の対応についてご紹介しましょう。
災害時の労務対応
出張中に自然災害に遭遇し怪我をした場合の保険適用
出張の開始(自宅を出たところ)から出張の終了(帰宅)までが
出張(会社の業務命令に服している)となるため、
この場合は労災保険の適用となります。
(ただし、出張時の私用・私的行為中の場合での被災は労災保険の適用とはなりません)
通勤時に自然災害に遭遇し怪我をした場合の保険適用
出張時と同様に通勤(自宅⇔会社移動)途上で自然災害に遭遇した場合
労災保険の適用となります。
また、会社から避難場所へ移動する場合、
避難所で生活している場合の会社への移動時の災害は通勤災害が適用されます。
自然災害により労働者が出勤できなかった場合の賃金の支払いについて
労働者が労務を提供できなかった場合
「ノーワーク・ノーペイの原則」
となりますが、
自然災害等により出勤できない場合は
労働契約や労働協約、就業規則など
で労働者が出勤できなかった場合の賃金の支払いについて定めが
あればそれに従います。
また会社の裁量により有給扱いにするなど特例措置を行うとこともできます。
(労働者本人の落ち度ではない)自然災害で出勤できない場合は労働者の不利益をできる限り回避する努力をすることが大切です。
自然災害発生時の時間外労働・休日出勤について
労働基準法では8時間/日、40時間/週の法定労働時間を超えて労働させる場合や
4日以上/4週間を通して、または1日以上/週与えなければいけない休日に労働させる場合は
事前に労使協定(36協定)を締結し労働基準監督署に届け出る必要があります。
しかし、非常災害で36協定の届出の範囲をを超えての労働を命じる場合、
もしくは36協定を締結していない場合でも、
事後速やかに
「非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請書届」
を労働基準監督署に提出し許可を得れば時間外労働・休日労働をさせることができます。
※ただし、時間外労働・休日労働に対する割増賃金の支払いが必要です。
自然災害により会社が被災しやむを得ず休業とする期間の労働者の処遇
原則、自然災害等の不可抗力で事業の休業を余儀なくされ、
やむを得ず労働者に休業を命じなければならない場合は、
労働基準法に定める「休日手当」を支払う必要はありません。
(ただし、何も保障のないまま労働者に休業を命じると離職者が増えることが予想されます。)
また、就業規則に「自然災害等で休業した場合の給与」について
規定がある場合はその規定に従うことになります。
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